紅茶の基本

紅茶を分類する「グレード」は何を表しているの!?紅茶のグレード(等級)について知ってみよう!!

紅茶の「グレード」と聞くと、商品のクオリティをイメージするかもしれませんが、紅茶の場合は品質の善し悪しではなく、茶葉の大きさや形状による分類のことをいいます
その中でも「オレンジ・ペコー」はよく商品名でも使われていますが、こちらもグレードの一種であり、紅茶の種類や銘柄の名前ではありません。
今回は、そんな紅茶のグレード(等級)についてお話ししたいと思います。

この記事を読むとわかること

・茶葉の大きさや形状を知ることができ、どんな紅茶を購入したいかの参考になります。

【紅茶のグレード(等級)分けをする理由】

紅茶についてグレード(等級)と表すときは、商品のクオリティや品質の善し悪しを示しているのではなく、茶葉の大きさや形状による分類のことをいいます。

では、紅茶の美味しさとは関係ないのに、なぜグレード(等級)分けをするのでしょうか。

紅茶は、大きさやよれの形状が違う茶葉では、淹れるときの抽出時間が異なります。
細かい茶葉は早く抽出され、大きい茶葉はより時間がかかります。
そのため、大きさや形状が揃っていない茶葉では、味のバランスが一定にならないため、製品にする際に、茶葉の特徴や用途に応じてグレード(等級)分けをする必要があるのです。

そして伝統的なオーソドックス製法で作る紅茶は、下記のとおり⑥乾燥の過程を経て、原料茶ができあがります。

紅茶のグレード(等級)分けは、原料茶を作る工程の④玉解き・ふるい分けと、原料茶製造後の⑦グレード(等級)分けの段階で行われます。

【オーソドックス製法】
①摘採(生葉を摘む) → ②萎凋(萎らせる) → ③揉捻(揉む) → ④玉解き・ふるい分け → ⑤酸化発酵 → ⑥乾燥 → ⑦グレード(等級)分け

ちなみに紅茶は、高級だから美味しい!!と思っている方も多いかと思いますが、そう言い切ることはできません。価格が高い理由として収穫量が少ないことが挙げられます。

【紅茶の主なグレード(等級)の解説】

紅茶の主なグレード(等級)について

ここでは、紅茶の主なグレード(等級)を紹介したいと思います。

ただし、グレード(等級)は、国際的な基準があるわけではなく、大きさや形状に統一規格がないため、生産国や製茶工場によって異なります。

【タイプ別の茶葉】
①フルリーフタイプ(全葉の茶葉)
②ブロークンタイプ(砕いた茶葉)
③ファニングス&ダスト(粉状の茶葉)
④CTC茶

タイプ別の茶葉略称読み方
OPオレンジ・ペコー
Pペコー
Sスーチョン
BOPブロークン・オレンジ・ペコー
BOPFブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス
Fファニングス
Dダスト
CTCシーティーシー

OP(オレンジ・ペコー)

オレンジという名ですが、決してオレンジの香りがしたり、味がするというものではありません。
「オレンジ」は、紅茶の抽出液の水色が明るいオレンジ色であることを意味します。
また「ペコー」の名は、中国語で産毛を意味する「白毫(パイハウ)」がヨーロッパに紹介されたとき、イギリス人が「ペコー(ピコー)」と伝え聞いたのが由来とされています。

全葉の茶葉で細長く、一般的に長さが1~2cmほどあります。産毛のついた芯芽もよく見られ、インドのダージリンやアッサムが代表的な形状となります。

ちなみにOPの前にFが表示されているFOP(フラワリー・オレンジ・ペコー)は、フラワリー(Flowery)を表します。
「花のような香りのする」という意味で、OPの形容詞となっていて褒め言葉であります。

P(ペコー)

OP(オレンジ・ペコー)に次いで大型の形状で、5~7mmの長さです。太めに揉まれた茶葉で、味は強く、コクがあり、水色は濃い色をしています。

S(スーチョン)

P(ペコー)よりもさらに小さくなり、ごつごつした硬さがあります。葉でいうとかなり下の4枚目の葉を使っており、味は刺激的で、水色はやや薄いです。
中国茶に多いタイプで、スモーキーな香りが特徴の中国産茶葉の「ラプサンスーチョン」に使われています。

BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)

OP(オレンジ・ペコー)となる葉を細かくしたもので、サイズは2~3mmになります。

抽出が早く濃く出るのが特徴で、短時間に抽出できる割に濃厚さも、刺激的な快い渋味もしっかり持っていて、香りも備わっています。

スリランカの紅茶で見かけるサイズであり、ティーポットで抽出する方法からティーバッグに至るまで幅広く利用されています。

BOPF(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス)

形状はBOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)よりもさらに細かく1mm程の大きさです。抽出時間は1~2分間でとても早く、濃厚でボディーのしっかりした味となります。
この特徴を活かし、一般的にはティーポットで抽出するよりも、煮出して作るチャイやティーバッグへの利用が多いです。

F(ファニングス)

大きさはBOPF(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス)と変わらない1mm程度のもので、形状としての見分けはつきません。
抽出したときにBOPFよりもやや水色が濃く、渋みや濃厚さも強めです。
一般的には、BOPFもFも同一のファニングスタイプの茶葉になりますが、BOPFの方が香りが強いとされています。

D(ダスト)

ダストは、一般的に使われている「ゴミ」という意味ではなく、ふるいにかけて一番下にたまった葉で、茶葉の中で最も細かいサイズの葉という意味で使われています。
粉状で、水色は黒っぽく、渋みが強いです。ミルクティー用や、抽出時間が短いのでティーバッグに使用されることが多いです。

CTC(シーティーシー)

リーフティーをCrush(茶葉を押しつぶす)、Tear(引き裂く)、Curl(丸める)する製法で、顆粒状に作られた形状の茶葉をいいます。

CTC茶が多く生産されるのは、インドのアッサムやケニア茶で、直径2~3mmと大きいものから1mm、1mm未満のサイズがあります。CTCは加工茶としては単一のグレード(等級)になりますが、サイズの区分によって分けられています。

BPS~BPはティーポットで抽出することができ、Fは粉状になっているのでティーバッグに利用されることが多いです。

【CTC紅茶のグレード】

略称読み方
BPSブロークン・ペコー・スーチョン
BOPブロークン・オレンジ・ペコー
BPブロークン・ペコー
Fファニングス
PFペコー・ファニングス

その他のグレード(等級)について

【茶葉の摘み方によるグレード(等級)がある】

上記で説明した製造段階でOP、BOP、Dなどと区分されるグレード(等級)の他に、茶葉の摘み方によってもグレード(等級)を表すことがあります。

上記の図のように、紅茶の葉は先端に芯芽(FOPの部分)と呼ばれる部分があり、その次の葉やそれ以降下の葉にもそれぞれ名前が付いています。

FOP、OP、Pの「一芯二葉」で製造される紅茶は、摘む際に少しずつしか手に入らないため価格が高くつき、PSやSまでの葉を含めると、量が多くなるので価格は抑えられます

【チップ(Tip)が含まれるグレード(等級)がある】

紅茶の葉の先端の芯芽部分(FOPの部分)は、まだ葉になっていない針のような形の芽をしています。この部分はチップ(Tip)と呼ばれ、チップの多い紅茶にはティッピー(Tippy)という等級が付けられます。
そして、生産量自体が大変少ないので希少価値がありとても高価なものとされています。

このチップは、一芯二葉で摘んでいるのでどの紅茶にも含まれており、このチップの部分がたくさん入っていると、隠し味になって、味がまろやかになり、ソフトな風味になります。

その中でも、ゴールデンチップとシルバーチップと呼ばれるものは大変貴重なものですが、味は熱湯を淹れて蒸らしてもほとんど水色は付かず、干し草のようなほんのりと甘いかすかな香りがあるだけです。

◎ゴールデンチップ:茶葉の発酵過程で紅茶液に染まり、薄い褐色から黄色がかったチップのこと。

◎シルバーチップ:ゴールデンチップと同じく、やや白っぽく、灰色がかったチップのこと。

このように、チップ(Tip)はとても貴重なものですが、チップ(Tip)だけを集めた紅茶だと普段私たちが飲んでいる紅茶の味は成り立たないことがわかります。
製造段階でできたOP、BOP、Dなどの区分のグレード(等級)と、FOP、OP、P、PS、Sの茶葉の摘み方によるグレード(等級)、そしてチップ(Tip)が合わさり美味しい紅茶を飲むことができるのです。

【紅茶のグレード(等級)を読み解く】

【FTGFOP1】とは

ここでは実際に、グレード(等級)を読み解いてみましょう!!

【FTGFOP1】とは
例として表示しましたが、このFTGFOP1も実は紅茶のグレード(等級)を表しています。

左から
◎F(ファイン)→上質なものを意味します。
◎T(ティッピー)→芯芽の多いことを意味します。
◎G(ゴールデン)→茶葉にゴールデンチップが含まれていることを意味します。
◎FOP(フラワリー・オレンジ・ペコー)→グレード(等級)で最も大きい茶葉を示し、花のような香りが特徴です。
◎1→特によいことを意味します。

上記のアルファベットをまとめると、
ゴールデンチップと呼ばれる芯芽を多く含む最上級品のひとつ」
ということを表しています。

特にインドのダージリン紅茶で見かけることが多いです。
このような紅茶をぜひ一度は飲んでみたいものですね!!

抽出時間からグレード(等級)を予測

紅茶を購入する際、パッケージにグレード(等級)の記載はないけれど、茶葉の抽出時間は記載されてある場合は、おおよそのグレード(等級)を予測することができます。

例えばティーバッグの紅茶で、抽出時間が1分~1分30秒程であれば、ティーバッグの中身は、F(ファニングス)などの細かい茶葉であることが予測できます。

また、抽出時間が5分と長い場合は、FTGFOPと良質なフラワリー・オレンジ・ペコーの葉を使用している紅茶だということがわかります。

このように、パッケージに記載してある抽出時間からグレード(等級)を想像することも、紅茶時間の楽しみの一つになるかと思います。

【紅茶の主なグレード(等級)の一覧】

最後におさらいです。これだけは押さえておきたい!!紅茶の主なグレード(等級)をまとめました。

【タイプ別の茶葉】
①フルリーフタイプ(全葉の茶葉)
②ブロークンタイプ(砕いた茶葉)
③ファニングス&ダスト(粉状の茶葉)
④CTC茶

①OP(オレンジ・ペコー)全葉の茶葉で細長く、一般的に長さが1~2cmほどあります。チップ(芽)を多く含み、水色は明るいです。インド系の紅茶に多いタイプです。
①P(ペコー)OPに次いで大型の形状で、5~7mmの長さです。味は強く、コクがあり、水色は濃い色をしています
①S(スーチョン)P(ペコー)よりもさらに小さくなり、ごつごつした硬さがあります。味は刺激的で、水色はやや薄く、中国茶に多いタイプです。
②BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)OPをカットしてふるいにかけ、2~3mmの形状にそろえたものをいいます。刺激的な快い渋味もしっかり持っていて、香りも備わっています。スリランカ産の紅茶に多いタイプです。
③BOPF(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス)BOPより小さく、1mm程の大きさになります。水色が濃く出て、味も強くコクがあります。煮出して作るチャイやティーバッグへの利用が多いです。
③F(ファニングス)BOPをふるいにかけた際、下の方に落ちていく小さな葉のことをいいます。水色が濃く、渋みや濃厚さも強めです。
③D(ダスト)ふるいにかけ、一番下にたまった葉のことをいいます。粉状で、水色は黒っぽく、渋みが強いです。ミルクティーやティーバッグに使われます。
④CTC(シーティーシー)リーフティーをCrush(茶葉を押しつぶす)、Tear(引き裂く)、Curl(丸める)する製法で、顆粒状に作られた形状の茶葉をいいます。インドのアッサム、ケニア茶に多いです。

【あとがき】

いかがでしたか。今回は紅茶のグレード(等級)についてお話ししました。
グレードと聞くとクオリティをイメージする方が多いかと思いますが、紅茶の場合は主に茶葉の大きさや形状による分類のことを示していることをお判りいただけましたでしょうか。
例外で、FOP(フラワリー・オレンジ・ペコー)のF(フラワリー)のような褒め言葉があったり、生産量が少ないチップ(Tip)が含まれている高価な茶葉も中にはあります。

そして紅茶を購入する際、パッケージにグレード(等級)の記載がなくても、抽出時間でおおよそのグレード(等級)を予測するのも楽しいかもしれません。

ぜひ紅茶のグレード(等級)を理解して、素敵なティーライフを過ごしてくださいね!!


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Kayo
紅茶が大好きな一児の母です。ドタバタな毎日の中の数分のおうちでのティータイムに幸せを感じております。将来は自分のお気に入りの手作りを色々と集めた小さな紅茶教室を開くことが夢です。より多くの方が気軽に紅茶を楽しめるような情報を発信していきたいと思います。